毎年、MRAに関する問題が高頻度で出題されます。本記事ではTOF-MRAとPC-MRAに関して、問題をまじえてまとめて解説していきたいと思います。(問題はJMRTS 認定試験過去問より引用)
第6回 問題12
MRAの特徴について, 正しい文章を選択して下さい.(正解3つ)
- PC法はTOF法に比べ,患者の動きに影響されにくい.
- 位相コントラスト(phase-contrast)PC法は、特定の流速を強調できる.
- TOF(time of flight)法はPC法に比べ、断層面に平行な流れを描出しにくい.
- MTC法は, タンパク質に含まれるプロトンや脂肪の信号を飽和させる手法である.
- PC法において, 速度エンコーディング(venc)を100cm/secと設定した場合, 125cm/sec の血流の位相シフトは, 反対方向の75cm/sec の位相シフトと区別できない.
解説
影響されにくい→ 影響されやすい
PC法は1回目と2回目の双極傾斜磁場の印加時を差分するため- 正しい
- 正しい
脂肪の信号脂肪にMT効果は作用しない75cm/sec→ 25cm/sec 速度エイリアシング
第5回 問題11
MRAの特徴について, 正しい文章を解答して下さい.
- TOF法はPC法に比べ, 磁場均一性への依存度が低い.
- TOF法はPC法に比べ, 断層面に平行な流れを描出しにくい.
- PC法は, 特定の流速を強調できる.
- PC法は, 流速と方向性の定量化ができる.
- PC法はTOF法に比べ, 患者の動きに影響されにくい.
解説
- 正しい → PC法では磁場が不均一だと、血液などの正確な位相のずれを検出することが出来なくなる
- 正しい
- 正しい
- 正しい
影響されにくい→ 影響されやすい
PC法は1回目と2回目の双極傾斜磁場の印加時を差分するため
第13回 問題36
MR血管撮像(MRA)に関する正しい記述はどれか.(正解2つ)
- 飽和効果を減少させるにはフリップ角を増加させる.
- PC(phase contrast)MRA法は血流方向を示す画像を強度画像で示す.
- VENC(velocity encoding)が小さすぎると速度折り返し現象が起りやすい.
- MT(magnetization transfer)パルスは脳では流れの速い血管の描出をよくする.
- TONE(tilted optimized non-saturating excitation)は異なる励起フリップ角を用いて飽和効果を減少させる.
解説
増加→ 減少 FAが大きいと縦磁化の回復が悪く、飽和効果を助長する強度画像→ 位相画像- 正しい
速い→ 遅い- 頭部MRAへのMTパルスの適応目的は、脳実質(タンパ ク質に含まれるプロトン)の信号を低下させることである
- → 血流と脳実質のコントラストが向上する
- → 流れの遅い血管(抹消血管)の描出が相対的に向上する
- 正しい(TONE)
第20回 問題15
MRAにつて正しいものはどれか。 2つ選べ。
- PC法は双極磁場勾配を用いる。
- PC法のVENCは対象血管の推定最大流速に設定する。
- TOF法はPC法に比べ流速の定量性が高い。
- TOF法はTEを延長すると血流の信号強度が上昇する。
- TOF法はMTパルスを印加すると血流と脳実質とのコントラストが向上する。
解説
- 正しい
推定最大流速→ 推定最大流速の4/3倍高い→ 低い延長→ 短縮 TEを短縮すると位相分散の影響を小さくできるため- 正しい
第16回 問題17
MRアンギオグラフィにについて正しいのはどれか. 2つ選べ
- PC法は双極傾斜磁場による位相シフトを利用する
- TOF法はinflow効果を利用して血流を高信号に描出する
- PC法において位相シフトがπのとき最大の信号強度を示す
- PC法において低いVENC設定ほど, 傾斜磁場の印加強度は弱くする必要がある
- 3D-TOF法における可変フリップ角法は, 抹消血管の側のフリップ角を小さくする
解説
- 正しい
- 正しい
π→ π/2 VENCの定義: 位相シフト= π になる時の速度v[cm/s]弱く→ 強く
VENCは傾斜磁場強度(Gx), 時間(T2)に反比例する ν=(Δ∅)/(γGx Τ2)小さく→ 大きく
TONE: 流入側から流出側に向かってFAを大きくする.(TONE)
第12回 問題11
MR血管撮像(MRA)について正しい文章を選択して下さい。(正解2つ)
- Gd造影剤投与後に撮像すると血管の描出能が向上する。
- TOF法にMTパルスを印加すると流れの速い血管の描出能が向上する。
- PC法のVENC(velocity encoding)値を大きくすると流れの遅い血管の描出能が向上する。
- 脳血流の低下が予想される場合、TOF法においてはTEを延長することで血管の描出能が向上する。
- TONE(tilted optimized non-saturating excitation)法は異なる励起フリップ角を用いて飽和効果を減少させることができる。
解説
- 正しい TOF法, PC法(3D-GRE)ともにT1強調画像ベースであるため
速い→ 遅い MTパルスにより脳実質の信号を低下させ、相対的に流れの遅い血管の描出能が向上遅い→ 速い VENC値=v(Δφ=π)[cm/sec]延長→ 短縮 TEを短くすると位相分散の影響を小さくすることが出来る- 正しい
TOF-MRA 特性
- TOF法はinflow効果を利用して血流を高信号に描出する.
- TOF法は断層面に平行な流れを描出しにくい.
- TOF法は磁場均一性への依存度が低い.
- 飽和効果を減少させるにはフリップ角を減少させる.
- TOF法はMTパルスを印加すると血流と脳実質とのコントラストが向上する。
- MTパルスは脳では流れの遅い血管の描出をよくする.
- TONEは異なる励起フリップ角を用いて飽和効果を減少させる.
- TONEは抹消血管の側のフリップ角を大きくする.
- TOF法はTEを短縮すると血流の信号強度が上昇する.
- Gd造影剤投与後に撮像すると血管の描出能が向上する.
PC-MRA 特性
- PC法は動きに弱い.
- PC法は特定の流速を強調できる.
- PC法は流速の定量性が高い.
- PC法は流速と方向性の定量化ができる.
- PC法は血流方向を示す画像を位相画像で示す.
- PC法は双極磁場勾配を用いる.
- PC法は双極傾斜磁場による位相シフトを利用する.
- VENCが小さすぎると速度折り返し現象が起りやすい.
- VENCは対象血管の推定最大流速の4/3倍設定する.
- VENC値を大きくすると流れの速い血管の描出能が向上する.
- PC法において低いVENC設定ほど, 傾斜磁場の印加強度は強くする必要がある.
- PC法において位相シフトがπ/2とき最大の信号強度を示す.
- Gd造影剤投与後に撮像すると血管の描出能が向上する.


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