本記事ではBlack Blood Imaging: BBIについて問題を交えて解説していきたいと思います。(問題は日本磁気共鳴専門技術者認定機構の過去問より引用)

BBIとは?
BBIとはBlack Blood Imagingの略です。黒い血液の画像の総称を指します。

椎骨動脈解離のBBI
第17回 問題2
2 週間前のMRI で急性期の椎骨動脈解離が疑われている患者の経過観察MRI が計画されている. 適切でないものを選べ.
- MRA は元画像もPACSに送る.
- MRA は前回の検査を参考に椎骨動脈の異常部を含めて撮像する.
- 拡散強調像は, 前回の検査にて所見はなかったが, 今回も撮像する.
- B-PASは, 前回の検査にて椎骨動脈外径の拡張を確認しているが, 今回も撮像する.
- Black blood 高分解能 T1 強調像は, 前回の検査にて壁肥厚を確認しているため, 今回は省略する.
解答
1. 正しい
2. 正しい
3. 正しい
4. 正しい
5. 今回は省略する. → 経過観察に有用である
5. Black blood 高分解能 T1 強調像は, 前回の検査にて壁肥厚を確認しているため, 今回は省略する.
急性期の椎骨動脈解離の患者に経過観察にBBIのT1強調像が有用であることが分かる論文を下に示します。
B-PASは血管外腔の観察をするのに対して、T1-BBIは血管内腔の壁外血腫の観察に有用です。

頸部血管のBBI
MRIにおけるプラークの性状評価をまとめたものを下の図に示します。

破綻することで脳梗塞を発症しやすい、プラーク内出血や脂質を多く含んだ不安定性プラークが問題になります。T1, TOFで等〜高信号を示します。
第11回 問題48, 第10回 問題43
頸部血管のblack blood image について正しい記述を選択して下さい.(正解3つ)
- 乱流や層流はflow void効果に影響を与える.
- 可動性プラークの性状評価には4D収集が有用である.
- GRE法ではflow voidの原理を利用して血液信号を抑制する.
- 出血を伴うプラークはT1強調像にて胸鎖乳突筋と等信号である.
- 不安定プラークの性状評価には脂肪抑制パルスを付加することが有用である.
解答
- 正しい
- 正しい
血流信号を抑制する→ GRE法はflow voidとならない等信号→ 胸鎖乳突筋より高信号- 正しい
第13回 問題49
頸部血管のblack blood image に関する正しい記述はどれか.(正解2つ)
- 呼吸性アーチファクトを軽減するため脂肪抑制を付加して撮像した.
- プラークの性状を得るために拡散強調画像(b 1000s/mm2)を撮像した.
- 2次元データ収集FSE法で撮像する場合は心電同期もしくは脈波同期が必須である.
- 3次元データ収集再収束フリップアングル法で撮像する場合は心電同期もしくは脈波同期が必須である.
- 3次元データ収集再収束フリップアングル法で撮像する場合は血管走行に対して垂直に撮像断面を設定する必要がある.
解答
- 正しい
拡散強調画像→ T1WI と T2WI- 正しい
心電図同期もしくは脈波同期が必須である→ 必要ない垂直に撮像断面を設定する必要がある→ 撮影断面の制限はない
第19回 問題26
頸動脈血管壁イメージングを得るために血流信号を低下させる方法はどれか.
- FSE法ではRFAを高くする.
- MPRAGE 法では短いTEを使用する.
- 心電図同期を使用して拡張期に撮像する.
- 2D-FSE法では血管走行に平行な断面で撮像する.
- SE系シーケンスではk空間の充填法としてCartesianではなくradial samplingを選択する.
解答
高く→ 低く短いTE→ 適切なTI設定拡張期→ 収縮期(血流速度が速い収縮期に同期させるため)平行→ 垂直(スライス内を素早く通過できるため)- 正しい
5. SE系シーケンスではk空間の充填法としてCartesianではなくradial samplingを選択する.
Radial samplingはCartesianと比較し、モーションアーチファクトやフローアーチファクトの低減効果が大きいことから、血管壁近傍のBBI効果が大きくなる。


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