近年、「全身MRI」に関する問題が出題されています。しかし、そもそもどこの出典から出題されているのか、ガイドラインのどこが要点なのかなど取っ掛かりにくい側面があります。本記事では全身MRI検査についてまとめていきたいと思います。(問題はJMRTS 認定試験過去問より引用)

全身MRIとは?
「全身MRI」は検査名です。広義の「DWIBS法」「全身DWIBS」そのものを指します。
DWIBSとは?
DWIBSとは、Diffusion-weighted Whole body Imaging with Background body signal Suppression の略語になります。日本語では、拡散強調画像(DWI)の背景信号抑制(BS)と訳されます。
全身MRI撮像の指針
日本医学放射線学会と日本磁気共鳴医学会より発表された「前立腺癌の骨転移検出のための全身MRI撮像の指針」になります。ここから問題は出題されています。
第17回 問題50
日本磁気共鳴医学会から発令された「全身 MRI 撮像の指針(2020 年 3 月 23 日 初版)」について正しいものはどれか. 2つ選べ
- 1.5 T 装置による撮像を必須とする.
- 全身拡散強調像は原則 冠状断を撮像する.
- 撮像範囲は頭頂部から骨盤骨下端までを必須とする.
- 微小病変や活動性が低い病変が偽陰性となる可能性がある.
- 臨床に用いる場合は本検査の注意事項を患者へ説明して書面にて同意をとること.
解説
必須→ 1.5 Tもしくは3.0 T冠状断→ 水平断(原則 水平断であるが、冠状断、矢状断で撮像して良い)頭頂部→ 頚椎上端- 正しい
- 正しい 同意書例

全身MRI撮像の細則
日本磁気共鳴医学会より発表された「前立腺癌の骨転移検出のための全身MRI撮像の細則」になります。ここからも問題が出題されています。
第18回 問題50
「前立腺癌の骨転移検出のための全身 MRI 撮像の細則(2021 年 9 月 22 日一部改訂版)」にて最も必要とされている画像はどれか。
- 全身 T1 強調像
- 全身 T2 強調像
- 白黒反転表示画像
- b 値 3000 s/mm2 の全身拡散強調像
- 拡散強調像と他のシーケンスとの融合画像
解説
- 正しい(必須)
- オプション
- 行ってもよい
- b 値
3000s/mm2→ b値 0-100 と 800-1000 s/mm2 - 作ることが望ましい
第19回 問題50
「前立腺癌の骨転移検出のための全身 MRI 撮像の細則(2022 年 3月 9日 一部改訂版)」にて必須の撮像シーケンスなどはどれか。
- 全身 T1 強調像
- 全身 T2 強調像
- 白黒反転表示画像
- b 値 3000 s/mm2 の全身拡散強調像
- 拡散強調像と他のシーケンスとの融合画像
解説
- 正しい(必須)
- オプション
- 行ってもよい
- b 値
3000s/mm2→ b値 0-100 と 800-1000 s/mm2 - 作ることが望ましい
情報提供
試験に直接役立つかは分かりませんが、全身DWIBSに関することが一冊に凝縮された書籍が販売されています。たくさんの症例が載っていて臨床に役に立つ書籍となっております。
ふるさと納税の返礼品として全身DWIBSが行われている自治体もあります。

まとめ
- 1.5T もしくは 3T 装置での撮像とする。
- 全身拡散強調像は原則 水平断面を撮像する。(冠状断, 矢状断も可)
- 撮像範囲は頚椎上端から骨盤骨下端までを必須とする。
- 微小病変や活動性が低い病変が偽陰性となる可能性がある。
- 臨床に用いる場合は検査の注意事項を患者に説明して書面にて同意をとること。
必須 シーケンス
- 全脊椎T1強調像
- 全脊椎STIR像もしくは脂肪抑制T2強調像
- 全身T1強調像
- 全身拡散強調像 b値 0-100, 800-1000 s/mm2
オプション シーケンス
- 全身T2強調像


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